SNPは膨大な遺伝子の中に潜んでいる病気のシグナルです

病気の原因の特定に期待がかかる

DNAのなかの塩基配列で1箇所だけ変異している部分をSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)といい、ヒトゲノムには300万~1000万箇所存在するといわれています。

個人の体格や容姿、人種的特徴などはSNPに含まれており、親から子へと受け継がれていくとされています。このSNPは、特定の薬に対する副作用の発現率や病気に対する抵抗性などにも関与していると考えられており、個々のの病気の原因を探る手段としても注目されています。

ある個人の遺伝子が、特定の生活環境や食事に影響を受けやすく、そうでない人に比べて、病気や障害の発現率が高い場合、その遺伝子の特性を危険因子といいます。ある原因に敏感に反応するためこの危険因子は感受性遺伝子とも呼ばれています。

遺伝子は、ヒトの生命活動をタンパク質の生成というメカニズムでコントロールしていますが、塩基配列の変異(SNP)が、いつ・どこで・どのようにタンパク質の生成に関わっているのかを突き止め、その生成を抑制して危険因子を押さえ込もうという研究が進んでいます。

一方、先天的に変異した遺伝子を持っていたり、必要な遺伝子の機能が欠如しているために、タンパク質が生成されなかったり、不足したりして、特定の病気の発症率が高くなる場合、要因となる遺伝子の異常を病気の決定因子といいます。

遺伝子が生成するタンパク質のメカニズムの解析ができれば、病気の決定因子も修正し、発病を防ぐことができると考えられています。世界の人種のSNPの解析が完了し、病気のかかりやすさ、薬剤への感受性、副作用を予測できるデータが揃えば、病気のリスク診断や薬の選択にも応用できると期待されています。