評価の範囲が連結ベースであることから、経営者としては、まず、連結ベース(全社レベル)での財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制の評価を行う必要があります。例えば、全社的な会計方針及び財務方針、組織の構築及び運用等に関する経営判断、経営レベルにおける意思決定プロセスがそれにあたります。この段階を「全社的な内部統制の評価」といい、内部統制の基本的要素のうち「統制環境」「リスクの評価と対応」「情報と伝達」「モニタリング」などを評価していくことになります。
次に、主要な業務プロセスに係る内部統制を評価します。基本要素の「統制活動」と「ITへの対応」におけるIT業務処理統制の大部分が該当します。具体的には、販売管理プロセスや購買管理プロセス、在庫管理プロセスなどに関係する内部統制ということができます。すべての業務プロセスを評価する必要はなく、経営者は合理的な方法、判断において評価対象を決めることができます。
内部統制の6つの基本要素全てが機能しているか、定められたルールどおりに適切に運用しているかなどを業務プロセスにそって評価していくことになります。つまり、代表的な取引や業務を抽出し、取引開始から、総勘定元帳の記録、外部報告されるまでの一連の流れ、手続きを通して評価します。評価方法としては、担当者への質問、記録の確認、規定、マニュアル類の確認が代表的な手段となります。
経営者は、これらの評価を行なった結果、統制上の要点等に「不備」が財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合は、「重要な欠陥」があると判断しなければなりません。評価結果は、「不備」と「重要な欠陥」、そして「問題なし」の3つで、現状の業務があらかじめ定めた仕組みとルールどおりであれば「問題なし」、ギャップが生じていれば「不備」、その不備が、重要な影響を及ぼす可能性が高い場合に「重要な欠陥」と評価されます。
「不備」や「重要な欠陥」が見つかった場合でも、それが報告書における評価時点、つまり決算期末日までに是正されていれば、財務報告に係る内部統制は有効であると認めることができます。期末日後に実施した是正措置については、報告書に付記事項として記載します。
経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性の評価手順、その評価結果、発見した不備、その是正処置について記録し保存しなければなりません。これらの文書化された記録は、監査法人による監査の際に利用されます。