出資を不動産や有価証券、知的財産権(特許権や著作権等)など、金銭以外の財産で行うことを「現物出資」といいます。会社設立時に現物出資を行われた場合、出資された財産の価値に見合った株式が引き受けられているかどうかを、裁判所が選任する検査役や設立時の取締役に調査させたり、現物出資された財産の評価が会社が発行した株式の価値よりも低かった場合に、その補填を発起人や設立時の取締役に義務付けたりしていました。
これは、現物出資財産の価値が適正に評価されていないと会社の財産的基礎を害し、株主の利益を害する恐れがあるからです。ただし、小額の現物物資など会社の財産基礎に及ぼす影響が少ないならば、厳しい要件を課す必要はありません。このような場合は裁判所の検査役の調査が無くても、出資された財産と発行された株式との差額を会社の取締役などに補填させれば済むからです。
そこで従来は、現物出資の対象となる財産の価値が、総額で資本金の5分の1を超えず、かつ500万円を超えない場合は検査役による調査は必要ないとしてきました。
新会社法では、この検査役要件がさらに緩和されることになりました。その理由は、新会社法で「最低資本金制度の廃止」が行われたにもかかわらず、「資本の5分の1を超えない」という要件を残したのでは、現物出資の手続きを利用することができないケースが増えてしまうからです。
そのため、検査役の調査に関する資本基準の制限が撤廃され、一律500万円以下の財産を対象とするのであれば検査役の調査は必要ないということになりました。