国内外の多様な機関が研究資源の保存・提供を行っています

国内外に多くの研究機関が存在

ライフサイエンスにおける研究の精度を高め、成果を効率的に達成するためには、動植物や微生物の細胞、染色体、遺伝子等の研究資源の身元や特性が明確である必要があります。

以前は、アメリカの「ATCC(American Type Culture Collection)」や「Coriell Cell Repositories」などの海外の公的機関、あるいは大学が研究資源の提供・保存・管理に主導的な役割を果たしていました。

現在では、「理化学研究所 理研バイオリソースセンター」や「東京大学医科学研究所(バイオバンクジャパン)」など、日本の多様な研究機関がその活動の一部として研究資源の提供を行っていますが、機関によって保有する資源の種類は様々です。

また、各資源提供機関は自らの提供範囲を研究者に提示するだけでなく、研究者が検索しやすいようにキーワードやデータベースの提供も行っています。機関は、研究資源の保有数拡大に努めるだけでなく、適切な状態で保存して、品質を保つことが求められます。

例えば、遺伝子ならマイナス80℃で保存するためにディープフリーザーで保管し、品質管理を定期的に行う、といった具合です。データベース検索によって目的物を確認した研究者から依頼を受けた機関は、データシードなどを添付して目的の資源を提供します。

オーダーメイド医療のような医療領域に関与するバンクの登場によって、患者由来の資源の蓄積も行われるようになりました。これは、研究という側面からは非常に意義深いことですが、個人情報の保護や倫理上の観点から慎重な検討が必要であることを意味しています。

例えば、病気と遺伝子の関係の解明を目指して、生活習慣病を主とした47の疾患に関して、日本人患者のゲノムDNAや血清の保管・管理を目指す期限プロジェクトでは、倫理面と試料提供の適正という側面から審査が行われます。